イノチが生きるとはどういうことか 若原正巳さん(理学博士) | インタビュー・サイト ユーフォニアム

イノチが生きるとはどういうことか 若原正巳さん(理学博士)

 

 

爬虫類としての恐竜

杉本 ええっと。唐突で申し訳ないんですけど。恐竜っていうのはあれ、属とか種とかで違いかあるんですか?

 

若原 うん?何が?

 

杉本 恐竜というのは?

 

若原 恐竜というのはねえ。分類でいくとね。ここに脊椎動物というのがいるんだけども。人、ネズミ、ハト、トカゲとか書いてます。この「トカゲ」(爬虫類)の仲間なんだよ。

 

杉本 ああ~。なるほどね。

 

若原 恐竜というのはトカゲの仲間で、う~んと、爬虫類だよな。

 

杉本 爬虫類なんですね、はい。

 

若原 でも生の爬虫類、いま生きている爬虫類は4つのグループしかないんだよ。

 

杉本 あ、そうなんですか?

 

若原 ヘビ、トカゲ、ワニ、カメだ。

 

杉本 あ、カメも。ほう。

 

若原 これは生の爬虫類なの。ところがトカゲと、カメなんかは全然違う感じがするじゃない?

 

杉本 そうですね。

 

若原 でも、これ無理やり一緒にしてんの。

 

杉本 無理やり?

 

若原 無理やりというか、まあ大きく一まとめにして爬虫類。現生の爬虫類。で、その祖先型の動物が恐竜。その恐竜の生き残りでいえば例えばトカゲ。トカゲをバーっと大きくしたらトカゲみたいな形の恐竜だね。

 

杉本 そうですね。はい。

 

若原 うん。で、ワニもまあそうだよね。

 

杉本 そうですね。ワニも確かに。

 

若原 で、カメはちょっと系統はわかんないけれども。恐竜は元々爬虫類の中では一番はびこっていて、空を飛ぶ恐竜もいれば、海の中にいる恐竜もいれば、地上にいる恐竜もいたんだけれども、なぜ恐竜がはびこったか?地球上をもう、支配してたからね。一番地球上で威張ってたんだけれど、どうしてそうなれたかというと、またこの脊椎動物の話になるんだけれども、背骨がある動物でいえば、系統進化で行くと一番古いタイプは「魚」。

 

杉本 ああ、魚。

 

若原 そう、魚類。で、その中から両生類が出てきた。両生類というのはカエル、イモリの仲間。その両生類の仲間から爬虫類が出て進化してきた。その爬虫類の生き残りが鳥。鳥類は恐竜の直系の子孫なの。だから鳥の足なんかみると恐竜の足とほとんど同じ足をしてる。三つの足指をこうやって。足跡なんか見るとそうでしょ?トリは爬虫類の直系なの。で、もうひとつの爬虫類の哺乳類型のやつから哺乳類が出てきたの。こういう関係なんだ。

 

杉本 なるほどぉ。

 

若原 それで一番大事な点は、魚はわかるじゃない?これはエラで呼吸して遊泳する。魚は泳ぐ。それが両生類になって四つ足になってきた。魚は足がないんだよ、基本的には。

 

杉本 海が環境ですからねえ。

 

若原 うん。で、両生類はカエルやイモリもそうだけど、四つ足を獲得したんだ。そして歩けるようになった。だから魚から両生類になってヒレが進歩して足になったんだね。ここにはだから「飛躍」がある。そして陸上にあがっていった。両生類、カエルの仲間は一歩を踏み出したんだ。ところが両生類の場合は陸に上がったといっても卵が問題だった。卵が乾燥に弱い。これはもう決定的に弱い。すぐ乾燥しちゃうわけ。陸上にカエルの卵が干上がって道路で乾燥してるのを見かけるけれども、もう圧倒的に乾燥に弱いので水中にしか卵を産めない。そしてオタマジャクシは水中でなきゃ生活できないという限界がある。だから両生類は水場から離れて生活することはできない。そういう限界があった。例えば両生類のイモリと、爬虫類のヤモリはほとんど同じような格好してる。でも全然違ってて。何が決定的に違うかというと、これは僕がよく学生にいうんだけども、「羊膜」を作ったというところ。

 

杉本 羊膜?

 

羊膜のパワー

若原 哺乳類にも羊膜があるけれども、羊膜なんて普通は見たことないと思う。爬虫類の卵なども見たことないから一番わかりやすいのはニワトリの玉子。ニワトリの玉子は真ん中に黄身があるじゃない?で、そのまわりが白身でしょ。で、その外側は白いカラだよね。硬いカラ。このカラの中にベラベラとした半透明の膜がある。朝ごはん食べるときに割ったらわかるけれども、このベラベラした半透明の膜。これが羊膜。この羊膜があるから卵は空気中に置いていても乾燥しない。

 

杉本 へえ~。

 

若原 で、鳥類も哺乳類も羊膜をもっている。爬虫類ももっているわけ。で、爬虫類から羊膜ははじまった。

 

杉本 爬虫類からはじまったわけですね?

 

若原 その前の両生類は水辺から離れられなかったけれども、爬虫類は卵を工夫して乾燥に強くした。だからどこにでも産めるわけ。砂の中でもいいし、鳥みたいに樹の上でもいいし、どこでも産めるようになってきた。だから砂漠にも行けるし、どこでも行けるようになったために地球上で大成功した。こういう動物なの。だから恐竜は地球上で身体をどんどん内骨格で大きくすることもでき、空も飛ぶし、海も行くし、陸上にも行くというので成功したんだ。でも地球環境が大変化して恐竜は絶滅してしまう。

 どうして?っていったら、僕らが子どもの頃はそんなバカなことはあるのかといわれてたんだけれども、「天変地異説」と言ってね。外からの隕石が地球にぶつかってそのせいで恐竜は絶滅してしまったといまはそれが通説になってる。アメリカのいまメキシコのあたりかな?ユカタン半島のあたりにボーンと隕石が落ちて。ものすごいバカでかいクレーターがあるらしい。で、そこで爆発みたいなことが起きて太陽光線が入らなくなって、まずシダとかの植物は全部死んで、それを食べていた恐竜も死んでしまった。というのがいまの通説となっているストーリーなんだけれども。そのような暗闇に囲まれた中でそれまでは爬虫類がいたから哺乳類はあんまり活躍できなかったんだけれど、爬虫類がいなくなったために哺乳類がダーッと出てきて。その結果入れ替わってヒトが出てきた。まあ、ヒトはもっと時間がかかるんだけれども。そういう関係なのです。

 だから地球環境で生物はどんどんどんどん変わっていくんだよね。いままでは人間がいなくても地球環境はどんどん変わっていく。隕石がぶつかったりして、地球が急に寒くなったりするし、太陽の黒点の変化でね。黒点がバーっとある時に気温が下がるとか。僕はあんまり詳しくないけども、地球で温暖化、寒冷化とか氷河期とかがあるじゃない?そういう風に環境は変化していくんだけども、その環境の変化に伴って生物が、成功した生物とか、失敗した生物とか、そういう入れ替わりがある。今までは太陽が中心となった環境変化だった。でもそれは仕様がないんだよね。我々は大気をコントロールできないわけだから。

 

杉本 そうですね。面白いですよね。あの、そうすると恐竜が一世風靡してた頃というのは、恐竜はお腹の中で子どもを育てるわけではなかったのですか?

 

若原 恐竜は、基本的には体外。卵を外で産んで育てる。

 

杉本 鳥とか何かと同じような育て方をしていたと?

 

若原 そうそう。いまいる鳥はみんなちっちゃい鳥が多いんだけども、まあ「エミュー」みたいなでっかいのもいるけれども。鳥になってどんどん小型化はしてくんだけど、子どもを育てる方法はほとんど同じ。

 

杉本 で、まあ。この時代は爬虫類の恐竜がこの地球の中で生きものとして先頭を走ってたのですが、いろんな条件があって絶滅しちゃったと。で、爬虫類はどんどんサイズも小さくなって行き、そのあと哺乳類が前面に出てくると。

 

若原 そうだね。流れとしては。

 

「卵生」と「胎生」

杉本 哺乳類というのは、要は体内で子どもを育てる生き物たちですよね?それは外の環境条件があるので、お腹の中で子どもを育てるようになったということでしょうか?

 

若原 それはなかなか難しい話なんだけどもね。卵を産むか、それともお腹で育てるか。「卵生」と「胎生」という言葉があって、哺乳類はご存知のように胎生なわけ。哺乳類というのは元々なぜ哺乳類と言うかといえば、読んで字の通り、おっぱいで子どもを育てるからでね。で、卵生というのはまあ、卵を外に産んで育てるやつなんだけれども、場合によっては魚にも「卵胎生」というがいて、卵を産むけれどもお腹の中で育てる。サメの仲間なんかでは交尾をして、お腹の中で胎児が出来てくるというのがあるんだよ。でも魚の仲間では胎盤が出来ない。だからなかなか難しいんだ。

 

杉本 う~む。なるほどね。

 

若原 哺乳類の基本は胎生だから卵がお母さんのお腹の中でお母さんの栄養をもらってどんどん大きくなっていくじゃない?その時にどうしても胎盤というのが必要なんだよね。

 

杉本 そうか。子ども、育てるために。

 

若原 うん。子ども育てるために。胎盤を通じて子どもに血液の養分をやるし、不要物は回収するし、そういうシステムをしてる。その胎盤が十分発達したらちゃんとした哺乳類になるんだけれども、実は胎盤が発達してない哺乳類もいるわけ。その代表はカンガルーの仲間なの。

 

杉本 へえ~。そうなのですか。

 

若原 カンガルーの仲間は胎盤が出来ないのさ。基本的に。

 

杉本 そうなんだ。

 

若原 だからものすごい早産しちゃうわけ。もうこんなちっちゃい胎児が生まれてくるわけ。胎盤が不完全だから。で、「袋」の中で乳首があって、そこでおっぱい吸って、ということで大きくなっていく。コアラとか袋を持ってるカンガルーとかの仲間はそうなんだよね。

 

杉本 あれはなんて名前がついてるんでしたっけね?ああいう袋がある動物。有袋類でしたっけ?

 

若原 そう。有袋類。

 

杉本 ええ。でも面白いですよね、そういう。

 

若原 そうだな、卵生か胎生かというのは哺乳類はどうして体の中で胎児を育てることになったかというのは、そういう風に考えたことはないから。僕はいまはその理由が思いつかないんだけれども。

 

杉本 外敵から守るとか、そういうことはないんでしょうかね?

 

若原 まあ、身体。守る、ね。

 

杉本 (笑)。

 

若原 守るのはね。卵生のやつでもいるのさ、魚でね。卵を口の中で育てるというものは何種類もいて。

 

杉本 へえ~。ああ、何種類も?へえ~。

 

若原 うん。そういうのもいるし、だから単に守る。まあ、守りやすいかなあ?

 

杉本 これも一種、わからない自然の成り行きなんでしょうか?

 

若原 いや、あのね。多分。卵生で産んだ場合には基本的には体外受精なの。

 

杉本 体外受精?ああ、そうかそうか。

 

若原 魚もそうだし、ウニもそうだし、みんな体外受精。だから生まれたものはもう受精卵で外に生まれなきゃいけないわけだ。するとまったく未熟。力がないし未発達だからお母さんが守ろうとしても守りきれないんだよね。だから大量に産んで、一匹二匹残ればいいという戦略をとらざるを得ない。そう考えるとお母さんが守ってやる、お父さんが守ってやるというシステムが出来てくれば、子どもの数が少なくても例えば五匹産めば二匹は育つという風になってくる。百万個産んで、一匹育てるのに成功するか。で、だんだん進化して。保育とかが生まれることによって子どもはできるだけ少なくする戦略もありうるわけだね。さっきあなたが言ったように、お腹の中でかなり大きくなるまで育てばあとはもう死なないからいい。

 

杉本 ええ、ええ。そうですよねえ。

 

若原 そういうことかもしれない。だからそのために保護、保育するためにお腹の中で育てるというシステムが出てきたのかもしれないね。そうすると子どもの数はものすごく少なくなるんだよね。

 

杉本 うん、そうですね。自分の身体の中で成熟するまでね。お腹の中に入れておくわけですからね。

 

若原 そのために哺乳類はそういう風になってきて、子どもを少なく大事に育てるシステムで成功したのかもしれない。魚類はもう、沢山産んで、できるだけこどもの数を沢山にして、博打的に生き残ればいいという風になってきたのかもしれないね。

 いずれにしても生物はね。原稿にも書いてるんだけれども、子どもを残すために生きているわけ。何匹子ども作れるか、残せるかというのを最大の目標にして生きているという風に今は考えられているわけだね。

 

杉本 うん。いや、本当にそこが必然という感じもするし、面白いという感じもするといいますか。「滅ぼされない」というのが前提なんですね。自分が生まれてきて。

 

若原 何がないと?

 

杉本 あの、何と表現したらよいか(笑)。自分が生まれて魚でもどこぞの動物でもいいんですけど、そういう風に生まれてきた存在としての自分というものは、その生まれてきた存在を滅ぼされないということが基本戦略になっているんですね。

 

若原 まあ、それはそうだ。それはそうなんだろうね。

 

杉本 うん。人間だからこんな風に考えちゃうのかもしれないんですけど、それが自然のメカニズムのようにして。人間側から見ると戦略的に高度なことをやってるんだなあとか。生き延びるという意味ではアリの戦略もそうですけども、結局、私ら人間って脳を使って自分たちの種族を守るという発想ですから、その目線でみるとやっぱりやってることがすごい神様の作るメカニズムかのように。まあ要はそのように「人間目線」で見てしまうわけですよ。高度な戦略を練っている、まあそれは比喩で、別に生きものはそんなことを考えてやってるわけじゃないでしょうけど。

 

若原 考えてやっているわけではなくって。

 

杉本 はい(笑)。

 

性転換する魚

若原 考えているわけではなくて。その話はわかりやすい例で言うと、僕もその話大好きなんだけれども、魚でね。性転換する、っていうのがいる。

 

杉本 はい。本でも読みましたが(『なぜ男は女より早く死ぬのか』(SB新書))、面白かったです(笑)。

 

若原 魚、何で性転換するの?わざわざ。人間でも性転換あるよね。どうしても身体の性と心の性が一致しないから性転換をする。手術して体にホルモンをやらない限り普通は性転換は起こらないわけね。人間とか、普通の場合は。でも魚類では結構簡単に性転換する生物がいる。

 

杉本 はあ~。

 

若原 で、生まれたときに例えばね。「クロダイ」という鯛がいるんだけども。クロダイは生まれたときは全部オス。

 

杉本 全部オスなんですか?

 

若原 全部オスなの。

 

杉本 あ、そうなんですか。へえぇ~。

 

若原 全部オスなの。で、2年から3年で全部メスに転換するの。

 

杉本 はあ~。そうなんだ。

 

若原 うん。性転換するの。逆に全部メスで、大きくなるとオスになるという反対のやつもいるんだ。

 一番わかりやすいのはクロダイの例で、生まれたときは全部オスなの。大きくなったら、大体2年から3年なからなんだけれども、今度はメスに転換するの。なんでこんなことするかというと、生まれたときは小型なの。身体がね。で、小型というのは身体が小さいから、卵を産もうとしたら養分がたくさんいるわけだ。サケの卵とか見たらわかるけど、すごい養分がいるので、小さい動物はたくさん卵を埋めないわけ。ところが精子はものすごく小さい。人間もそうだけれども、1回に2億匹の精子出すわけだから。ものすごいちっちゃいんだよ。顕微鏡でなければ見えない。対して卵は大きい。目で見えるくらい。だからオスの場合いくら精子を作ってもエネルギー使わないわけ。だから小さい固体、チビでも沢山精子出せるわけだ。だから小さいうちは精子出したほうがいい。で、大きくなって、卵作れるようになったら、卵を今度は生んでオスから精子もらってやったほうが一生に作る子どもの数は多くなる。だからこうやって性転換するわけ。大きくなったら子ども産めるよ。そうしたらメスになる。小さいときはオスで頑張っていて、チョコチョコ精子かけて、大きなメスのところに行って、精子かけて子ども作ると。

 

杉本 実はその相手が元オスだったと(笑)。

 

 

 

若原 うん。だけど精子かけてもまわりに敵、沢山オスがいるから自分の精子が受精できるかといえば、そうとは限らないわけだ。バーっとメスが卵産んだときにオスがワーッと群がって精子かけるので、すごい競争があって、自分の精子を出すんだけども、本当に自分の精子が受精して、子ども作れるかどうかは100%じゃない。相手がすごい沢山いるから。でも卵の場合、自分の卵だから間違いなく自分の子どもなの。だから卵を産んだ方が得ではある。自分の子どもを作るという意味では、ちっちゃい時には卵は沢山作れない。だから仕様がないので、オスで生まれて精子をかけて、そして大きくなって自分の卵を作れるという戦略が生まれた。そうすれば一生に作れる子どもの数は多くなるという戦略。それで性転換するんだと思う。クロダイはそれで成功してるんだよね。

 ところが普通の魚は性転換しない。フナ、サケにしても何でそんなことしないかというと、性転換にやっぱりエネルギーがかかるからだろう。身体を作り変えなくちゃいけなくなるから。

 

杉本 ああ~。そうですよねえ。

 

若原 いままで育った精巣全部なくして、メスの卵巣にしなくちゃなない。また産卵のための管もいるし、いろんな身体、作り変えなくちゃなんない。それはコストがかかる。あんまりコストがかかるとそれはあんまり得じゃないと。そのギリギリのところで安あがりに身体作り変えられる魚は性転換をする。

 

杉本 なるほどお。

 

若原 身体の作りがすごい複雑でメスからオスになるのにエネルギーが必要な動物は性転換はしない。で、クロダイは生まれたときはオスで、大きくなってからメスという風になるのだけれども。実はメスが先だ、という魚もいるのさ。不思議なことに。メスが先なのはどうしてかというと、これはねえ。オスが縄張りを持つんだ。

 

杉本 縄張りを持つオス。

 

若原 うん。縄張り行動するんだ。大きなオスがメスを囲い込んで、他のオスが来たらケンカして追っ払う。縄張りを作るわけ。縄張りを維持するためには力が必要なので体が大きくなければいけない。で、大きくなったら縄張りを張ると。縄張り張れないような小型の時にはオスになれないから、メスでいるわけ。産まれたときはちっちゃい子どもで、あんまりたくさん卵は産めないんだけれども、自分でシコシコ、メスとして卵を産むと。で、でかくなって縄張りを張れるようになると何匹もメスを抱え込めるから、今度はオスになったほうが得なわけです。

 

杉本 ははは(笑)。

 

若原 という、グループもいる。やっぱり一生にどれだけ沢山の子どもを作るか。そこに工夫をしてるんだよね。それでもやっぱり身体作り変えるのはコストがかかりすぎるからあんまりやらない。でも、それに成功したやつは最初はメスで生まれてちっちゃいんだけれども、卵でチョコチョコと。大きくなったら何匹も抱えるからオスになった方が得だと。どっちかが得かでオスになったりメスになったりするいうのがあるんだよ。そういうのは神が作ったとは言えないんだけれども、うまく仕組まれているなと。

 

生涯繁殖成功度

杉本 何かね。SFのような話ですね(笑)。こういう話を聞くと。

 

若原 あの、それを言葉で表すと、「生涯繁殖成功度」という。

 

杉本 ああ、なるほどねえ。

 

若原 この言葉が非常に大事。一生涯の間にどうやって子どもを沢山作るか。この生涯繁殖成功度を上げるためすべての動物は生きてる。どうやって子どもを産んで育てるか。それが最大の目標だ、というんだよ。でも、人間も動物の一種だから「生涯繁殖成功度」というのはあるんだけれども、でも人間は<それだけ>で生きてるわけじゃなくて、ほかの成功度もあるわけだから。名誉欲とかが出てくるわけだからね。「金持ちになりたい」とかさ。

 

杉本 やっぱりそれは特殊な部分だな、と。

 

若原 うん。だからそれは特殊でほかの動物にはないんだよね。ほかの動物はもっぱら子ども。子どもというのはつまり「遺伝子」なんだけれども、自分の遺伝子を残したい。どれくらい自分の遺伝子を残すかということなんだよ。人間にもその傾向はないわけではなくて、不倫とか浮気とかから窺えるけれども、でもそこだけに生きてる訳じゃない。今は金儲けもあるだろうし、名誉欲もあるだろうし、権力欲もあるだろうし、世の中を良くしたいとかね。いろいろほかのものがあって。生物学的な生涯繁殖成功度だけではない。

 

杉本 ええ、ええ。いや、それがまさに最後の方でね。もう一回ふりかえりたこと。人間がなぜ生涯繁殖成功度だけではない、別なものになっているのかということは、ちょっと考えたいところなんですけれども。

 

若原 うん、うん。

 

杉本 で、ここまで聞くと、わたしがどこか自然の散策路を歩いていて、ああ自然がきれいだとか、虫がいるよとか、そういう「きれい」とか「美しい」とかそういう次元のものではなくって、まさに生きることは自分の遺伝子を残していくために生まれてきた。

 

若原 そうそうそう。そういう意味ではすべての生物は「利己的」だという風にいうわけ。

 

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管理人:杉本 賢治

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